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ここでは相続手続きや遺言書に関するよくあるご質問をご紹介します。どうぞ参考にしてください。
民法で定められた法定相続人であっても、相続権が奪われ相続できないケースがあります。これには、特定の犯罪行為によって相続権を奪う「相続欠格」と、被相続人の意思によって相続人の相続権を奪う「相続廃除」という2つの制度があります。
相続欠格とは、特定の犯罪行為によって相続権を失うことをいいます。
相続の廃除は、被相続人の意思によって相続人の相続権を奪う制度です。
法定相続人は民法によって定められていますので、法定相続人以外の人に相続財産を分けたい場合は遺言書により遺贈する必要があります。
被相続人が遺言書を残さず死亡した場合、法定相続人間での遺産分割協議上、法定相続人以外の方へ相続させる旨の協議をしても、その法定相続人以外の方へ相続させることはできません。
例えば、遺言者が法定相続人と疎遠であったりすると、遺言者としては日常の介護などお世話になった人に財産を遺贈することもあると思います。
このような場合、遺言書が有効であれば遺言書にしたがった相続または遺贈を行うこととなりますが、一定の相続人には、遺留分という最低限の相続分が認められています。(被相続人の兄弟姉妹には遺留分はありません)
遺留分を侵害されている相続人は、受遺者や他の相続人に対してその侵害額を請求することができます。なお、この遺留分減殺請求は、遺留分権利者が相続の開始を知り、被相続人の財産の遺贈または贈与があった事実を知ったことに加えて、その遺贈または贈与が遺留分の侵害をしている事を知ってから1年以内にしなければなりません。また、相続の開始から10年が経過したときに消滅します。
民法上、封のしてある遺言書(公正証書遺言以外)は、被相続人の最終の住所地を管轄する家庭裁判所で検認手続きを経て開封する必要があります。
勝手に開封してしまうと5万円以下の過料に処せられます。
ただ、上記のように検認前に勝手に開封された場合でも、遺言書自体が無効となるものではありません。
相続人が複数人いる場合で、遺言書がない、遺言書があっても相続分の指定のみをしている場合、または、遺言書から漏れた財産が有る場合は、相続人間で遺産分割協議を行い遺産の帰趨を決める必要があります。
遺産分割協議の方法としては、通常、相続人全員が集まって協議することとなりますが、必ずしも全員一堂に会する必要はありません。例えば、相続人の一人が分割案を作って持ち回りで承諾を得ることも可能です。
このようにして、遺産分割協議が合意に至った場合、後日のトラブルを回避するために相続人全員が合意した内容を記した「遺産分割協議書」を作成しておくことが必要です。
なお、相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合や協議自体ができない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。通常は調停を申し立て、調停が成立しない場合には審判手続きに移行することとなります。
遺産分割協議を相続人全員で行い、遺産分割協議が終了すると、後から遺産分割の無効原因や取消し原因が出てきたりしなければ、遺産分割協議をやり直すことはできません。
例えば、遺産分割協議書に沿った相続手続きが進まない場合でも、各相続人は勝手に遺産分割協議を解除することはできません。では、遺産分割協議後に新たな相続財産が判明した場合はどうなるのでしょうか。その場合には、新たに判明した相続財産に関する部分のみ、遺産分割協議を行うこととなります。
例えば、このような場合があることを考慮して当初の遺産分割協議時に「遺産分割協議に記載のない財産や、後日新たに相続財産が判明した際は、相続人●●が相続する」といった内容を付け加えておくと良いでしょう。
ただ、相続人の一人が故意に相続財産を隠していた場合等、やり直しを主張できるケースもありますので専門家に相談するとよいでしょう。このように遺産分割をやり直した場合で新たに相続財産を取得した者は、相続税ではなく当初相続財産を取得した相続人から新たに贈与で取得したと判断され贈与税が課せられることもありますので注意が必要です。
相続財産が現金や預貯金であれば簡単に分割が出来ますが、土地や建物と言った不動産となると簡単にはいきません。そこで、3つの分割方法を検討してみます。
相続税の申告と納付は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内に、被相続人の最終住所地を管轄する税務署に行う必要があります。
相続税の申告は、相続財産が分割されていない場合でも上記期限までにしなければなりません。分割が出来ていないという理由で申告期限が勝手に延びるという事はないのです。
よって、相続財産の分割協議が出来ていないときは、各相続人が民法に規定された相続分の割合に従って財産を取得したものとして相続税を計算し、申告と納税をすることとなります。この場合、いわゆる相続税の特例(小規模宅地の評価減、配偶者の税額の特例)が適用できないことに注意が必要です。
また、民法に規定された相続分の割合で申告後、遺産分割が成立し、その分割に基づき計算した税額と実際に申告した税額とが異なる時は、実際に分割した財産の額に基づいて修正申告又は更正の請求をすることが出来ます。
詳しくは、相続税の申告期限と遺産分割協議のページをご覧くださいませ。
「私には遺言しておくほどの財産もないし・・」「私の家族は仲が良いから遺言が無くても大丈夫」「特に希望はないし,法律の規定どおりに分けてくれればよい」などという理由から遺言書を書かないでおくケースもよくみられます。
しかし,遺言書がないと,その相続は法定相続手続きによります。相続人数が多い場合,遺産分割などの手続きに時間がかかることがあります。たとえ家族間の仲が良いからといっても,相続人の配偶者や、子などの事情や思惑もからんだりして相続人同士で争いになることも少なくありません。また,相続財産の中には,不動産などのように分割が非常に困難なものもあり,法定相続分に従って分けるには難しいケースも出てきます。
このように遺言書がない場合に各相続人間で争いが生じてしまったら,最終的には裁判所の判断に委ねるしか方法がありません。そうなれば時間がかかるばかりでなく,家族関係もぎくしゃくし、裁判費用など余計な支出が発生することにもなります。また,相続の手続きに時間がかかればすぐに被相続人の預貯金の払い戻しを受けることもできないため、葬儀費用や生前の入院費用などの支払いにあてることも難しくなります。きちんとした遺言書を作成しておくことは,家族間の余計なトラブルを避ける手段でもあり,それが残された家族への重要なメッセージにもなります。遺言書には,法的効果のある法定遺言事項のほかに,葬儀に関すること、被相続人の死後の事務処理に関する要望,家族に対する要望、感謝の言葉などを付言事項として述べることもできますので遺言を残される場合は、この付言事項を積極的に活用すべきだと思います。
作成した遺言書を、何らかの事情で気持ちが変わって変更や撤回したいと思うこともあるでしょう。民法では、「遺言者は、いつでも遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる」としています。また、前に作成した「遺言」が後に作成したのものと内容が抵触するとき、その抵触する部分については,後に作成した遺言で前に作成した遺言を撤回したものとみなされます。
つまり、一度遺言書を作成しても後で撤回してこれをなかったことにすることもできますし、変更したい部分があれば、その部分について変更することも可能です。
また、一旦作成した遺言書を撤回したり、変更することが面倒だと思うときは、改めて新たに遺言を作成すればよいでしょう。
前に作成した遺言との関係では、内容が抵触する部分があれば、それらは新しく作成した遺言のほうが有効となります。
一度、遺言を作成したからといって、気持ちや事情が変われば遺言はいつでも変更することも、撤回することもできます。なお,遺言を「変更」「撤回」するためには、その時点で遺言者に遺言能力があること、必ず遺言の方式(=遺言を作成するときの方式)に従って変更・撤回を行う必要があります。
遺言するには,遺言者に物事の判断能力(=遺言能力)があることが必要です。成年被後見人は、普段は、判断能力がない状態にあるため、通常、遺言することはできません。
●成年被後見人が遺言することができる場合がある。
成年被後見人は、判断能力がない状態にあります。しかし、なかには一時的に判断能力を回復することもあるため、民法では、判断能力を回復した状態のときに限って、遺言することができる特別の方式を定めています。
●成年被後見人の遺言の特別の方式
成年被後見人が判断能力を回復しているとして遺言する場合、一般的な遺言の方式に従わなければならないことは当然として、その他、医師2人以上の立ち会いがなければなりません。また、遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする際に、精神上の障害により物事の判断能力がない状態になかった旨を遺言書に付記して署名捺印しなければなりません。
公正証書遺言の場合、①証人2人以上の立ち会いのもと、②遺言者が遺言の内容を公証人に口頭、手話通訳人の通訳、自署などによって述べ、③公証人がその内容を筆記したうえ、その筆記した内容を遺言者と証人に読み聞かせたり、閲覧や手話通訳人の通訳などの方法によって伝え、④遺言者と証人が、公証人の筆記した内容が正確なことを承認した後、署名押印し、⑤公証人が、その文章に①~④までの手順に従って作ったものであることを付記して、署名押印することによって行います。そして、遺言者が病気のため署名することができない状態にある時は、公証人がその事由を付記して
代署し、それを遺言者の署名に代えることが行われています。したがって、遺言者が字を書くことができる場合はもちろん、字を書くことができなくても公正証書遺言を作成することができます。
●公証人が病院や遺言者の自宅に出張して遺言書を作成することもできる。
公証人は,通常,法務大臣が指定した地の公証役場でその職務を行わなければなりませんが なかには例外もあります。
病院や自宅で病床に伏している人が公正証書遺言をするときなど、事件の性質上、公証役場で職務を行うことでは目的が達成できない場合は、公証役場以外の場所で職務を行うことができます。
したがって,病院に入院している人や自宅で療養しているため公証役場に行くことができない人でも、公証人が病院や自宅へ出張することによって公正証書遺言をすることができます。しかし、公証人が職務を行う区域は、公証人の所属する法務局または地方法務局の管轄区域内に限定されており、公証人はこの区域を越えて出張することはできないことになっています。したがって,遺言者が入院している病院や自宅の地域を管轄する公証役場所属の公証人に出張してもらう必要があります。
●公正証書遺言の方式
公正証書遺言は,2人以上の証人の立ち会いのもとで行われます。その手順は,①遺言者が自ら遺言の趣旨(内容)を口頭、手話通訳人の通訳、自書などによって公証人に述べ、②公証人が、その趣旨を筆記し、その筆記した内容を読み聞かせ、閲覧や手話通訳人の通訳などによって遺言者と証人に伝え、③遺言者と証人全員がその筆記した内容が正確なことを承認して署名し、押印したうえ、④公証人が署名押印することによって行われます。
●公正証書遺言をする場所
公証人は,原則として,法務大臣が指定した地の公証役場でその職務を行わなければならないため、通常は、遺言者が公証役場へ行き、公正証書遺言をすることになります。しかし、遺言者が病院に入院、自宅で療養しているために、公証役場に行くことができない場合は、公証人が病院や遺言者の自宅などへ出向くことによって、公正証書遺言をすることができます。
●証人
2人以上の証人の立ち会いが必要なため、あらかじめ証人になってくれる人を探し頼んでおくことが必要です。
しかし、①未成年者②推定相続人(第一順位にある相続人)と受遺者(=遺贈を受ける人)、これらの配偶者や直系血族(例:子、孫、親など)③公証人の配偶者、4親等内の親族、書記や使用人はいずれも証人になることはできません。証人になってもらう人を選ぶ場合には,これらの人以外の人を選ぶよう注意が必要です。なお,証人として適当な人が見つからない場合は,公証役場に相談するとよいでしょう。(当事務所では証人2名を準備させていただきます。)
●必要書類
公正証書遺言をする場合 遺言内容の正確性を確保するため、公証人から本人確認のための印鑑登録証明書と実印のほか、遺言内容によって異なりますが、 相続人の戸籍謄本、受遺者の住民票の写し、証人や遺言執行者の住民票の写し、また遺言する財産の中に不動産がある場合には,登記事項証明書や固定資産評価証明書など、遺言公正証書を作るために必要な書類の提出を求められます。
これらの書類は、作成する遺言内容によって異なりますので、遺言内容についてご自身の考えがまとまったら、まず希望の内容でそもそも公正証書遺言をすることができるかどうかを含め、集める必要のある書類について公証役場に相談したらよいでしょう(当事務所では上記書類のとりまとめもさせていただきます)。
●公正証書遺言の手数料
公正証書遺言をする場合は,公証人に遺言公正証書の作成にかかる手数料を支払わなければなりません。公証人の手数料は,公証人手数料令によって定められ,法律行為の目的の価額によって区分されています。
●自筆証書遺言の必要事項
遺言者が①遺言の全文、②遺言の年月日、③氏名を自署し、④押印しなければなりません。言い換えると、遺言者が遺言書のすべてを自書して作成しなければ、効力が認められません。
●遺言の内容
遺言内容はその内容がしっかりわかるように書き、遺言の効力が生じたときに遺言内容に疑問が生じて、後に争いが起こることがないようにしておくことが重要です。
●遺言書の日付
遺言書の日付(年月日)は,遺言者が遺言書を作成した際に、「遺言をする意思能力があったかどうか」を判断するために大変重要です。遺言者は、意思能力がある限り、いつでも遺言の方式に従って、遺言の全部(または一部)を撤回することができます。また,遺言を撤回しないで新しく遺言書を作成した際に、前の遺言と後の遺言とで内容が抵触する場合、その抵触する部分については後の遺言で前の遺言を撤回したとみなされます。
そこで、同じ人の遺言書が2通以上出てきた場合、どの遺言書が遺言者の最終意思によって作られたものであるかを判断するために、遺言書の作成時期が重要となります。
したがって、遺言書に日付がないものは無効であり、また、日付が書かれていても年と月だけで日が書かれていないものや、「平成10年月日」のように,日にちが具体
的に書かれていないものも無効です。日付は「平成10年10月10日」というように,年月日をはっきり書くようにします。
●署名と押印
遺言者自身が署名押印することが必要です。署名と押印のどちらを欠いても遺言は無効です。また,姓が書かれていなくて、名前だけのものでも同一性を確認することができれば有効と考えられていますが、無用の混乱を避けるためにも戸籍上の本名を書いておくべきです。
●誤記の訂正の方法
遺言書を書いているときに,加筆・削除・訂正して遺言書の記載を変更する必要がある場合は、必ず法律で定められた方法によってそれらを行うよう注意が必要です。訂正などの方法が法律で定められた方法に従っていない場合、その遺言は無効です。訂正など、変更を加える必要がある場合は、後の混乱を防止する意味で面倒でも初めから書き直しするほうが良いでしょう。
●遺言の変更
遺言の全部を「変更」するときは、前の遺言を「撤回」したうえで、新たな遺言を作成します。その場合、前の遺言の撤回と新たな遺言を別々の書面で行うことも、前の遺言の撤回と新たな遺言を同時に、同一の書面で行うこともできます。
遺言の一部を変更するときは、前の遺言の一部を撤回したうえで、その撤回した部分について新たな遺言をすることができます。この場合、前の遺言の撤回と新たな遺言を別々の書面で行うことも、前の遺言の撤回と新たな遺言を同時に、同一の書面で行うこともできます。
●遺言の撤回
前に作成した遺言の効力を失わせることを「遺言の撤回」といいます。遺言者は,遺言の方式にしたがって遺言の全部(または一部)を撤回することができます。
これは,遺言者自身の意思次第でいつでも自由にすることができますが、そのためには「新たな遺言」を作成しなければなりません。
新たな遺言は、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」のいずれの方式でも行うことができます。また、公正証書遺言をした後、その遺言を自筆証書遺言や秘密証書遺言によって撤回したり、自筆証書遺言を公正証書遺言や秘密証書遺言によって撤回したりすることもできます。
●内容が抵触する遺言
前に遺言を作成した人が、新たな遺言を作成してそれら前後の遺言内容が抵触する場合、遺言者が死亡し、実際に遺言を執行するときに支障を来します。
そこで,民法は、前後に作成された遺言でその内容が抵触する場合には、その部分について、 「後の遺言で前の遺言を撤回した」とみなしています。
したがって、全部が抵触している場合は、前の遺言が新たに作成された遺言によって全部が撤回されたものとみなされます。また,一部が抵触している場合には,その部分だけが撤回され、そのほかの部分については前の遺言の効力が残ることになります。
●撤回された遺言の効力
前に作成された遺言の全部(または一部)を新たに作成した遺言で撤回(※その行為が詐欺や強迫による場合を除く)した後、さらにそれを撤回しても、前の遺言の効力は回復しません。
●自筆証書遺言の場合
改めて、遺言書を作成しなければなりません。
「自筆証書遺言」は,原本を紛失してしまうと公正証書遺言とは異なり再製することができません。したがって、改めて遺言書を作成し直す必要があります。なお、後日、紛失したと思った遺言書が出てきた場合は,後から作成した遺言書が優先します。
●公正証書遺言の場合
公正証書遺言を作成した公証役場に原本が保管されていますので、その作成した公証役場で、遺言書の再交付を請求することができます。再交付を請求できるのは遺言者が生きている間は遺言者だけとなります。ただし、遺言者がご高齢であったり,病気等で入院しているため公証役場へ出向くことができない場合、遺言者の代理人によって請求することもできます。遺言者がすでに亡くなっているときは、その相続人(または受遺者)が請求することができます。なお,遺言者がどこの公証役場で公正証書遺言を作成したかわからない場合は、最寄りの公証役場を通じて日本公証人連合会に照会することができます。
遺言書には、自筆証書によるものと公正証書によるものがあります。その保管の方法については、次のとおりです。
●自筆証書遺言の場合
遺言者は、信頼できる人に遺言書を作成していることを話しておいたり、遺言者が死亡したときに、遺言書のあることが遺族にすぐにわかる場所にしまっておくか、遺言執行者や信頼できる人に預けておくとよいでしょう。
●公正証書遺言の場合
遺言書の原本は遺言を作成した公証役場で保管されます。遺言を作成したときに交付された公正証書遺言の正本(及び謄本)は、自筆証書遺言と同じ方法で保管すればよいでしょう。また、公正証書遺言が見つからないときは、自筆証書遺言とは異なり公証役場で調べてもらうことができます。
遺言書を作成していたとしても、「相続開始の時」に遺言書の存在が遺族に把握されていないときは、遺族は「遺言がないもの」として、法定相続によって遺産分割をしてしまうことがあります。
後日、故人が作成した遺言書が出てきた場合、遺言に書かれた内容による遺産の分配が優先されます。この場合、遺産分割のやり直しが必要となりますが、各相続人間で調整(話合い)が整わなければ、裁判などの手続きが新たに必要になることもあります。
このような事態を避けるため、遺言を作成した人は、自身が死亡したときに遺族に遺言書をしまっている場所がわかるように何らかの方法をとっておく必要があるでしょう。
そのためには,生前に遺言書を作成していることを信頼できる人に話しておくか、遺言執行者や信頼できる人に預けておくとよいでしょう。
遺言書の種類によって、それぞれ次のようになります。
●公正証書遺言の場合
必要な資料を準備して、最寄りの公証役場に「公正証書遺言」作成の有無・作成された公証役場を照会することができます。公正証書遺言が作成されている場合は、実際に作成された公証役場宛てその交付を請求します。公正証書遺言の交付は,遺言者の相続人(または「受遺者」)が請求することができます。ただし,昭和63年12月31日以前に作成された公正証書遺言については遺言登録検索システムに登録されていませんので、公正証書遺言の交付を請求するために必要な資料を準備して、遺言者が遺言書を作成する可能性のある公証役場に行き、個別にその作成の有無を照会することになります。
●自筆証書遺言の場合
公正証書遺言とは異なりどこにも登録されていませんので、遺言者が遺言書を保管しそうな場所をよく探すしか方法はありません。「秘密証書遺言」についても同様です。
遺言書の種類によってそれぞれ次のようになります。
●公正証書遺言の場合
相続人等が「公正証書遺言の交付」を請求するために必要な書類を準備して、最寄りの公証役場にその作成の有無を照会します。昭和63年12月31日以前に作成された公正証書遺言については.遺言登録検索システムに登録されていませんので、故人が公正証書遺言を作成する可能性のある公証役場に行き、個別にその作成の有無を照会することになります。ただし、公正証書遺言の作成の有無を照会できる人は、故人の相続人などの「利害関係人」に限られています。
●自筆証書遺言の場合
公正証書遺言とは異なりどこにも登録されていないので、故人が遺言書を保管しそうな場所を探すしか方法はありません。「秘密証書遺言」についても同様です。
遺言者の死亡により相続が開始した時に、相続人の中で行方不明となっている人がいる場合、その人が遺言により相続した財産は、行方不明の人が「財産管理人」を置いているときはその財産管理人が管理し、もし行方不明の人が財産管理人を置いていないときは、家庭裁判所によって選任された財産管理人が管理します。
なお、行方不明の人の生死が7年間明らかでないときは、ほかの共同相続人などの利害関係人は、家庭裁判所に対して行方不明の人の「失踪宣告の申立て」をすることができます。行方不明の人に失踪宣告がされると、行方不明の人は7年の期間が満了したときに死亡したものとみなされます。この失踪宣告により行方不明の人の死亡とみなされた日が遺言者の死亡日以前であれば この行方不明の人は遺言者の死亡時には生存していないことになるので、遺言者の財産を相続することはできません。しかし、行方不明の人の死亡とみなされた日が遺言者の死亡後であれば、この行方不明の人は遺言者の遺産を相続します。その場合には、行方不明の人の相続人がその遺産を相続します。
「自筆証書遺言」の場合、例えば遺産の分配が少ない相続人から他の相続人に対し「遺言者自身が書いたかどうか」、「遺言の方式に違反があり遺言が無効」であるとして、相続人間で争いが生じることがあります。
遺言の有効・無効ついて、相続人の間で争いが生じたときは、まずは相続人間で話し合います。話合いで解決できないときは、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。このように「調停」を行うことのできる事件については、訴訟を提起する前にまず調停を申し立てなければなりません。これを「調停前置主義」といいます。調停で相続人間に合意ができなければ 調停は不成立(=不調)となります。家庭裁判所は,調停が成立しない場合において相当と認めるときは、調停に代わる「審判」をすることができます。調停が成立せず、調停に代わる審判もされないときは、地方裁判所に「訴訟」を提起して判決を求めることになりますので、できるだけ争いの余地がすくなくなる公正証書遺言で作成することがよいでしょう。
たとえ遺言書を作成したとしても、相続人に遺言書の存在を知られていないときは、遺言がないものとして法定相続分に従って相続人に相続されることがあります。ただし、後日遺言が発見された場合、その遺言の内容が法定相続と異なるときは、遺言が優先し、遺言の内容に従って財産を分ける必要があります。そこで、例えば遺言で特定の不動産を相続人の1人に相続させることになっているのに、遺言書を発見できずに、相続人全員による相続登記がされているときは、遺言書が発見された後に、その遺言書に基づいて、遺言で特定の不動産を相続することになっている相続人が、単独の所有名義にし直すことになります。
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